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第52回定例勉強会レポート(2008年9月13日実施)

2008/10/06 20:49
2008年9月13日に開催された、第52回定例勉強会は、
富士宮やきそば学会の渡辺英彦会長をお招きし、
B級ご当地グルメに学ぶ地域ビジネスについて
ご講演をいただきました。

全ては掲載しきれませんが、参加できなかったかたにとって、
何かのヒントになれば幸いです。

1.B級ご当地グルメ、富士宮やきそば

■B級ご当地グルメ
地域では知られているが、外に出ると知られていないもの。
2000年に活動開始した時点では、「富士宮やきそば」という語彙もない。

■富士宮やきそば
富士宮にやきそばが出来たのは戦後。
戦地で食べたビーフンがおいしかったのがきっかけ。

<特徴>
・米が足りなかったので、小麦でビーフンに近いものをつくろうとした。
 結果、通常のやきそばよりも硬い、歯ごたえのあるやきそばができた。
・蒸してから湯通しするのが一般的だが、富士宮やきそばは空冷。
 よって、水分が少なく、かたく仕上がる。
 その麺に油をまぶすことになるので、一本一本が独立している。
・肉カス(ラードを絞ったもの)を肉としてつかう。
 戦後の食材不足の中、肉の風味を出そうとした。
 一般的に地元の肉屋さんが駄菓子屋等に提案したのが始まりと言われる。
・ソースの後に魚の粉(鰯など)をかける
 豚のダシと魚の風味が入り、癖になる味と言われる。

■富士宮やきそばの経済効果
戦後60年ずっと同じものがあったにも関わらず、
2000年以前は富士宮にやきそばを食べに来る人はいなかった。
ところが今は、少なく見積もっても60万人が来ている。
6年間の経済波及効果が217億円と言われている。
行政の予算や業界の広告費もつかっていない。

■富士宮という町
全国に1300社ある浅間大社の総本宮。門前町として栄えていた。
商業、工業、観光揃っていて、昭和40年代までは賑わっていたが、
モータリゼーションで空洞化してきた。

99年の中心市街地活性化のワークショップで街づくりに
関心のある市民が集まった。
2年間のワークショップでは具体案が生まれなかったが、
60人集まったメンバーのうち、13人が居残って、
何かか具体的なことをやろうという話になる。

富士宮には昔から駄菓子屋がたくさんあり、鉄板があり、
おばちゃんがお好み焼きや焼きそばを焼いていた。
そこで出されてるやきそばが昔ながらのやきそばだった。
しかも、他の地方と比べると、先述のような違いがあったため、
これを誘客につかえないか?という話があがった。


2.富士宮やきそばの成功

■富士宮やきそばがなぜうまくいったか?
市民が勝手にやっているというのがポイント。
ご当地グルメはどんな地域にもあるが、それだけではダメ。
その商品、サービスによって人が集まり、お金が落ちないとダメ。
それによって、地域の経済が動いて新たな循環が生まれないといけない。
イベントで終わってはダメ。継続する地域ブランドにしないといけない。

■やきそばエクスプレス
富士山という観光名所を抱えているのにそれまでは観光バスが来てなかった。
いまは毎日東京駅八重洲口発「やきそばエクスプレス」が走る。
「富士山のある町」といっても、他の地域と同じためピンと来ない。
「やきそばの町」とあわせることで、認知度が高まる。

■メディアへの情報公開
こういう情報を聞いて、取材でもするか?と、NHK静岡局が来た。
何もしないと取材にならないので、思いつきで、
やきそば学会、G麺、がいる。というホラを吹いてみた。
ホラふいただけじゃダメで、焼きそばのお店を調査した。
専門店があるわけではない。駄菓子屋や飲食店で焼きそばを出している
お店となると、すごく密集しているように見える。
それをマップにして、「マップ片手に食べ歩いてください」
マップ完成が2001年の4月(NHKにホラ吹いたのは2000年11月)
2001年のGWは人がたくさん来たため、
おばちゃんが一日中やきそば焼いて腱鞘炎になったりした。

■平行しての活動
とにかく、お金がない。ゼロベース。
お金をつかわずに企業にはたらきかけてWin-Winの関係を築く。
こちらが出した企画でお互いメリットがないとダメ。

・ビール開発
ご当地グルメ+ビールという話で、アサヒビールにはたらきかけ。
写真とコピーは持ち込み。ポスターをつくって、店に貼る。
今度は、その事例を持って、キリンビールにはたらきかける。

・有料道路の交通量増加
「麺許皆伝 やきそば道」というパンフレット。
富士宮に来るには、富士ICから西口道路という有料道路をつかってくる。
広報後に交通量が2%増加。

・ヤキソバスツアー
出張サービスなんて言っても面白くない。
観光誘客のための戦略会議でヤキソバスツアーを提案。
麺税店で麺財符を使用。
モニターツアーではバス23台、1000人以上の人が
全員やきそばを食べるツアーが成立した。
現在は10社でツアーを行っている。


3.ものづくりからものがたりの時代へ

■メディア戦略:「ストーリー」の重要性
ものづくりの時代から感性工学の時代へ。
言葉から色んなものが生まれる。スペシャリティでは難しい。
川上よりも川下の人の感性がないと売れない。

■徹底的オヤジギャグ
当たり前のネーミングでは情報発信力が凄く弱くなる。
及び腰はダメ。オヤジギャグも堂々とガンガンいく。
これでもか、ではまだダメ。「ざまぁみろ」というところまで徹底的にやる。
中にはスベっているものもあるが、富士宮は絶えず
面白い情報を発信している、と印象付けることが重要。

<例>
・G麺:やきそば学会のPR 歩き方の研究まで行う。
・Mission 麺 Possible
 →トム・クルーズ来日に合わせてプレミア試写会に抽選でご招待、
・三者麺談・三国同麺(横手、大田、富士宮)
 →市長のサインを入れて認知度アップ。カップ焼きそば商品開発へ
・天下分け麺の戦い(VS.小倉の焼きうどん)→マスコミ30社
・だいびんじょう:やきそばに合う日本酒の銘柄
・マスバーガー・鱒ターズ:にじます日本一の富士宮
・空弁:静岡空港開港記念


■情報を加工して発信する:情報加工学
うまい食べ物よりもうまい話。
イベントも情報をどう発信するかで全然リアクションが違う。

例:讃岐うどんはタウン情報かがわ「麺通団」で有名になった。
怪しいうどんや情報を流し始めた。文章で紹介する。
ちゃんとした地図もない体験型観光。


■登録商標「富士宮やきそば」
地域団体商標制度:商標登録規制緩和が2年前に行われ、
商標に地域名を入れやすくなった。
その規制緩和以前に商標登録をすることができた。
ハードルが高い時に登録された、というのは価値が高い。
企業や業界団体が持っていないものを地域興しの団体が持ち、
地域活性の視点で使われている。

■地域再生大学への取り組み
富士宮には大学がない。
若者がいないと、街づくりのアイディアが枯渇してくる。
最近、富士宮やきそばの調査とか研究をする学生がいる。
富士宮の地域政策に役立つように、このような取り組みをしている。
やきそばを売るのが目的ではない。地域活性につなげるのが目的。
やっとステージアップしてきた、というところ。

■今後の富士宮やきそば
現在はB-1グランプリを開催。全国から24団体が集結して行う。
遊び感覚だからこそ、ビジネスチャンスになる。
最終的には、B-1グランプリを世界大会@ローマコロッセオ。
そんなバカな?ではなくて、やってみないと分からない。
最近では、やれば必ずうまくいく、と思っている。


<PM感想>
■富士宮に始まり全国、更にはコロッセオまで発想に至る渡辺会長。
オヤジギャグもただ滑るだけではなく、徹底的にやり抜いて
ビジネスに全て帰結させるするところが成功の秘訣なのでしょう。
アイデアに結びつくアンテナを感知し続けるだけではなく、
ビジネスに落とし込むセンスを身に着けたいと改めて思ったのでした。

■日本はこれから「ものがたり」の時代となるのでしょう。
ものづくりが飽和と言われる日本において、
今後はものがたりで価値を創造していく必要があります。
ものに情報で付加価値をつけていく作業を今後とも意識的に行い、
成長のきっかけとしていきたいですね。