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第91回定例勉強会レポート(2012年12月17日実施) 

2012/02/05 01:42
 
2011年12月17日に開催した第91回定例勉強会は、
『世界から愛される接遇スキルとは
―世界の人が愛する旅館オーナーが語る失敗と成功』と題して
講師に澤の屋旅館館主の澤 功さんをお迎えしました。

要点だけのお裾分けとなりますが、
ご参考にして頂ければと思います。

1.外国人受入のきっかけ

もう75歳になりますが、
今日は日本を背負って立つ皆さんに私の今までの経験をお話ししたい。


私は昭和39年に結婚して旅館の家に入りました。

当時、銀行に勤めていたので、
そのまま続けることができると思いましたが、
当時、修学旅行の生徒さんのお弁当までつくっていたので、
とても忙しかった。
これは、自分だけゆっくり銀行に行っているわけにはいかないな、、と。



そうやって銀行をやめて旅館業に入ったが、
あっという間にお客様が減ってしまった。
(当時、生活水準が上がってシティホテルに人が流れたり、
風呂とトイレの無い部屋では泊まってくれなくなった。
修学旅行でも利用されなくなった。)


やしま旅館の矢島さんに
日本人が来ないなら外国人を受け入れればいいじゃないか?
と、勧められた。


しかし、1年間は踏み切れなかった。


部屋も減らしたのにお客様が減ってしまった。


電話料金が払えないところまで落ち込んでしまった。


矢島さんのところを見に行ったら、うちと同じ12部屋。

設備は澤の屋と一緒だった。

今日、3人余っているから連れて帰ってくれないか?
と言われるほどの盛況ぶり。


やしま旅館さんの言っていることは実にシンプル
「我々は部屋を持っている」
と。


やしま旅館さんは外国人向けパンフレットに載っていた。

外国人向けの情報は高いホテルばっかり。
そこに、4000円や5000円で泊まれるという情報が当時はとても珍しかった。



2.外国人のお客様

アメリカやヨーロッパからの個人旅行の人が多い。


旅の思い出として残るのは、人とのふれあい。


お客様から色々なことを言われた。
その度に家族で相談した。

やれることはやる。
やれないことはごめんなさい。

そうやってお客様の声を聞く。


ガイドブックでみて、インターネットでみて
予約をする、というのが今の状況。
FAXもほぼゼロ。

稼働率90%を、海外のエージェントやGoogleの広告も無しで
実現している。

予約は英語だけ。

これは、30年前からやっているから、というのもあると思います。


カードで予約受けてキャンセル料が取れるという仕組みに切り替え。

今は、カード番号でしか予約を受けていない。


澤の屋に来る人の旅のしかたを調べよう、ということで、
アンケートを取った。

 →調査結果の紹介。配布資料は、以下からダウンロードできます。
  http://www.sawanoya.com/anke-to.htm


3.ことばと設備


中学生の息子に中学校の英語の教科書から
つかえそうな言葉を抜き出して、文章を暗記した。

朝食に来たお客様と単語英語でやりとりしていたが、
単語しか言わないから分かりやすいと言われた。

込み入った話になると、紙と鉛筆で辞書をつかってやりとりした。

さらに、英語もできない国の方がいると、絵を描いてやりとりした。


長期滞在で1ヶ月間会話がなくても喜んで頂いたこともあった。

元々潰れかけていたこともあったが、
どんな方も迎え入れるという姿勢が喜んでいただけているのだと思う。



4.文化習慣の違い

色んなことが起こって、良い悪いの基準が違ったりする。

ただ、誰も悪気があってやっている人はいない、
ということが分かった。

それが分かると肩の荷が下りた。


毎年6月に旅館のなかを改修するため休業するので
その時に家内と2人だけで海外旅行をして
その時にお客様の家にとめてもらった。


それによって、文化や習慣の違いを理解していった。


習慣でも最も困ったのがトイレ。


あとは、お風呂の中でカラダを洗ったり、栓を抜いてしまったり。


定価販売の国とそうでない国の場合の違いもある。
ディスカウントしてくれ、と。
定価販売でない国の人は価格交渉するのが当たり前。



5.サービスとホスピタリティ

講習会に参加したら、外国人を受け入れるにはホスピタリティが大事だ、、
と言われたが、そんなことも知らずに外国人を受け入れていた。

毎日お客様を受け入れていて全然疲れなかった。
外国人の方は、宿泊料に人的サービス料が入っていないと思っている。

自分のことは自分でやる、というのが当たり前。

また、すごく褒め上手。部屋を案内したりすると色んな褒め言葉をかけられる。

特にアメリカ人の方は相手を褒めて心を開かせるコミュニケーションをとるので、
とても褒め上手。


基本的には、ご自由にどうぞ。
困ったことがあれば一緒にやりましょう、
という考え方をするようになった。

澤の屋に届いた礼状を分析して頂いたら、澤の屋のサービスに対してではなく、
help、kindness、Hospitality といったものに対する御礼が多かった。


サービスとホスピタリティの勉強をした。

サービス
→語源はSlave。滅私奉公に対する対価を頂く。上下関係が基本。

Hospitality
→迎える側と迎えられる側が対等で、一緒に感動をつくりだす。


義理の母には旅館ではお客様が上であって、対等ではないと習ってきた。

だから私は、対等よりちょっと下という意識を持っている。


6.街の人との交流

義理の母には、旅館の仕事がおろそかになるから、
町と関わらないように。
と教わった。

町の人は泊まりに来ないし、町へお客様が行くかと行ったら、
そういうこともない。


葬儀を旅館組合と町会のどっちで仕切って頂くか?
となった時、町会の方に仕切って頂いた。

旅館組合の方は来て頂けたのだが、町会の方は、
香典だけ置いて帰ってしまった。

それまでお付き合いしていなかったからだが、
とても寂しく感じた。


それから町会に出るようになった。

義理の母の葬式では、町会の方も来て頂いた。

商売だけではなく、町会と関わるのが大事だと思った。


その後、外国人の方が来るようになったので、
町との関わりはやっぱり大事だと考えるようになった。

フランスから芸術家が3ヶ月滞在した。

バストイレ付きの部屋は無いのか?
と、すぐにでもキャンセルになりそうだったが、
結局は、町に馴染んで頂いて、3ヶ月間滞在した。


1組しかお客様がいないと、仕入れができないので、
夕食が出せなかったりする。

そこで、エリアマップをつくって、
近所のお店に受け入れて頂くようにした。


谷中は関東大震災でも焼けなかったし、
寺が多かったせいだと思うが、空襲も受けずに、
昔ながらの町が残った。

日本人らしい生活や文化が残った。
これが良いと言われる。


どこから来たか?
何歳か?
家族構成は?
という3つを聞かないのが、長屋の文化。

そういう、色々な人を受け入れる文化がある。


「外国のお客様を増やそうと思って、
何か新しいものを作ろうと思わないで下さい。
そして今あるものをなくさないでください」と言われました。



■質疑

質問:
価格はどのように決めたか?

回答:
1泊2食で7200円でやっていたが、泊食分離にして下さいと言われて
素泊まり3600円、洋朝食300円、和朝食900円にした。
今は値上げして素泊まり4800円。

エージェントがいないので価格競争はしていない。

その代わり1年間同じ値段。

直販だからできている気もする。


長期的旅行をする時には、
2人で8000円から10000円くらいが平均的な宿泊料ではないかと思う。



■現地視察

勉強会後、澤の屋旅館の視察を行った。
視察では、フロントや、お土産品のコーナー、
日本各地の観光パンフレットのコーナー、
部屋、共用の風呂の見学などを行い、澤の屋旅館の方や、
澤さんから開設を行っていただき、随時質疑応答を行った。

 
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